フランスには数多くの世界遺産が存在します。
なんと世界遺産の保有数は世界第4位にランクイン!日本が12位ですので、その差は歴然です。
中でも首都のパリ市には、観光客たちにも人気の有名な世界遺産がたくさんあります。
特に、ゴシック、ルネサンス、アールヌーヴォーをはじめとした様々な時代が生み出した傑作の建築は一見の価値あり。
今回は、そんなフランスの首都 パリ市にある世界遺産について、その特徴やおすすめスポットをたっぷりとご紹介いたします。
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目次
1 パリにある世界遺産の特徴
1-1 狭いエリアに世界遺産が密集している
フランスの中でも、とりわけ首都であるパリ市には誰もが知っているような素敵な世界遺産が数多く存在します。
一般的に、世界遺産といえば一箇所ではなく距離を置いて点在していることが多いです。ある国を訪れた際、数カ所の世界遺産を巡るためには結構の距離の移動が必要になることもあります。
一方で、パリ市には極めて狭い範囲に世界遺産が密集しているという点が大きな特徴です。
そのためわざわざ長距離を移動せずとも、数多くの世界遺産を一度に楽しむことができてしまいます。
例えばお馴染みのエッフェル塔、ルーヴル美術館、ノートルダム大聖堂など、これらは全てパリ市内です。
メトロや水上バスなどを活用すれば、一日で10箇所以上の世界遺産を巡ることすらできてしまいます。
1-2 「パリのセーヌ川河岸」として包括登録されたものが多い
パリには数多くの世界遺産が存在しますが、その多くは世界遺産「パリのセーヌ川河岸」の一部として包括登録されたものです。
ちなみに「パリのセーヌ川河岸」とは、パリ市を横断するセーヌ川の川岸のうち、シュリー橋〜イエナ橋までの約8kmとその周辺地域のこと。
この地域は世界文化遺産としてまとめて登録されています。
パリの世界遺産を効率よく巡るなら、「パリのセーヌ川河岸」周辺を中心に当たってみると良いでしょう。
都市が辿ってきた長い歴史を肌で感じることができるはずです。
2 一度は訪れたい!パリ市内に現存する世界遺産15選
2-1 ノートルダム大聖堂
ノートルダム大聖堂(ノートルダム寺院)は、セーヌ川の中洲に当たるシテ島にある教会です。
ロマネスク様式の雰囲気を残した「初期ゴシック建築」の傑作としても知られており、その壮大かつ美しい外観から「白い貴婦人」と呼ばれることもあります。
特にライトアップされ幻想的な雰囲気を放つ夜のノートルダム大聖堂は一見の価値ありです。
中には美しいステンドグラスを施した窓と、荘厳な雰囲気を放つパイプオルガンが設置されており、訪れる観光客を圧倒します。
最近では「Dame de Cœur(ダム・ド・クール)」というプロジェクションマッピングの企画も行われており、10月になると期間限定で開催されることもあるようです。
2-2 アンヴァリッド
アンヴァリッドは、「太陽王」とも呼ばれたルイ14世の命によって傷病兵のための看護施設として建設されました。
特に有名なのはアンヴァリッドに付属する礼拝堂で、フランス革命時代の英雄として知られるあのナポレオンもこの地で眠っています。
軍事博物館も併設しており、ナポレオンが活躍した時代の武器はもちろん、近現代の戦車や銃などが数多く展示されておりこちらも見逃せません。
このように観光スポット化しつつあるアンヴァリッドですが、ここでは現在も傷病兵や傷痍軍人たちがケアを受けながら静かに暮らしています。
2-3 エッフェル塔 (シャン・ド・マルス公園)
フランスの首都パリの象徴的存在といえば、やはりこのエッフェル塔です。
名称は、設計者兼建設者として知られるギュスターヴ・エッフェル氏にちなんで「エッフェル塔」と名付けられたと言われています。
1889年に開催されたパリ万国博覧会の目玉建造物として集客を兼ねて建設されましたが、なんと建築期間はたったの2年半。300mものタワーをたった2年半で完成させるというのは、当時の技術をもってすると驚異的なスピードです。
万博終了後に来場者数が低迷し、本来であれば解体される予定でしたが、急遽電波塔として利用する目的から取り壊しを免れて現在に至っています。
今では、パリを世界に向けて発信するフランスにおける重要なシンボルの1つです。
2-4 オルセー美術館
パリ市内には数多くの美術館が存在します。その中でも彫刻や絵画作品を好む人たちから高い人気を集めるのが、このオルセー美術館です。
パリ万国博覧会のために建設された駅舎を再利用して建設されており、現代アートに影響を与えてきた作品が多く展示されています。
中でも特筆すべきは、「印象派」を中心とした傑作の多さです。
最上階(5F)にはモネ、ルノワール、セザンヌ、スーラなど印象派画家の作品のみを展示したスペース「印象派ギャラリー」まで設えられているほど。
ルーヴル美術館からも近いので、ちょっと贅沢に「美術館はしご」を楽しむ方も多いようです。
2-5 ポン・ヌフ
ポン・ヌフは、セーヌ川にかかる橋の1つでパリに現存する最古の橋として知られています。
1607年に完成して以来ある程度の修復工事などをは行われてきたものの、橋の基本的な構造は一切変わっていません。
竣工から400年以上経った今も当時の構造を維持するほど丈夫なことから、「Se porter comme le Pont-Neuf(ポン・ヌフのように頑丈)」という慣用句も生まれました。
ちなみに『ポン・ヌフの恋人』を始めとした数々の名作映画のワンシーンにも登場してきたことでも有名です。
映画のヒロインになったような気分で橋の上を散歩してみるのも良いですね。
2-6 パリ市庁舎
パリ市庁舎は、1357年に建設された新ルネッサンス様式の建物で、中にはパリ市役所とセーヌ県庁が入っています。
現在は想像もできないかもしれませんが、市庁舎の前はグレーヴ広場と呼ばれ、事あるごとに公開処刑が行われていたという血生臭い歴史があります。
また普仏戦争の後には、革命自治体として知られるパリ・コミューンがこの市庁舎を本部として利用していました。しかしながら1871年になると反コミューン派によって建物に火をつけられ、一時は骨組みだけの無残な状態に…。
そのため今のパリ市庁舎は1357年建設当時のままではなく、再建されたものになります。
2-7 ルーヴル美術館
ルーヴル美術館は、国王フィリップ2世によって建設された「ルーブル宮殿」内に収容されている美術館です。元々は要塞として使われていましたが、増改築を重ねて現在の形が完成しました。
世界で最も入場者数の多い美術館としても知られ、年間入場者数はなんと800万人を超えるのだとか。
観光に訪れる方なら必ずといっていいほど旅程の1つに入っている人気の観光スポットです。
60,600平方メートルという広大な敷地を誇る展示スペースには、文字による資料のない先史時代から19世紀まで3万点以上の美術品が展示されています。
2-8 ヴェルサイユ宮殿
ヴェルサイユ宮殿は、太陽王とも呼ばれたルイ14世の命によって建設されました。
精緻な装飾が施された荘厳な外観は、フランスの絶対王政時代の圧倒的な国王の権力の象徴です。
ちなみにヴェルサイユ宮殿は建物本体よりも噴水庭園の方が凝っていることでも有名で、なんとその建設には3万人以上の人的労力が投入されたのだとか。
付近に水源がないにも関わらず大規模の噴水を作ることで「水なき地に水を引く」、つまり王の権力は自然をも変えてしまうほどの大きな力であるということを示す存在だったと言われています。
2-9 カルーゼル凱旋門
カルーゼル凱旋門は、革命期の英雄として知られるナポレオンの遠征勝利を祝って建設された凱旋門です。
「ルーヴル美術館」と「チュイルリー庭園」のちょうど間に位置しています。
ちなみに「カルーゼル」とは、フランス語で「騎馬試合」という意味。かつてはこの場所で騎馬試合が行われていたことから、この名前がつけられたのだとか。
最も有名なエトワール凱旋門と比べるとかなり小ぶりですが、コリント様式の柱や繊細に彫られたレリーフなど優美な雰囲気が印象的です。
2-10 コンコルド広場
8区にある最も有名な大広場といえば、やはりこのコンコルド広場です。
一見すると何の変哲も無い広場のようにも見えますが、かの有名なマリーアントワネットやルイ16世を始めとした数々のギロチン処刑が行われた場所としても知られています。
ちなみに建設当時は「ルイ15世広場」という名称でしたが、フランス革命を通じて「革命広場」という名称に改められました。
しかしそのあまりに凄惨な過去ゆえ、二度とこのような歴史を繰り返さないためにも、フランス語で「調和」を意味する「コンコルド」広場という名称に変更され現在至ります。
2-11 マドレーヌ寺院
マドレーヌ寺院は、古代ローマの神殿を彷彿とさせるギリシャ様式の荘厳な佇まいが特徴的な教会です。
入り口付近には、パリの彫刻家リュード作の「キリストの洗礼」、さらに奥の祭壇にはマロチェッティ作の「聖マグダラのマリアの歓喜」像が佇んでいます。
教会では平日のお昼のみ「Foyer de la Madeleine」という食堂が一般開放されており、年間会員になることでリーズナブルな価格でランチを楽しむことができます。
ちなみに会員は前菜、主菜、デザートのランチコースが一律7.5ユーロ。もちろん周辺の高級レストランのようなコース料理ではありませんが、気取らない親しみやすい味が地元住民からも人気です。
2-12 チュイルリー庭園
チュイルリー庭園は、パリ市内最古の庭園として有名です。
ちなみにこのチュイルリー庭園は、「ヴェルサイユ宮殿」の庭園をてがけたことでも知られる造園師ル・ノートルによって設計されました。
左右は非対称になっており、フランス式庭園独特のデザインになっています。
ちなみに公園内にはジュ・ド・ポーム美術館とオランジュリー美術館の2つの美術館があるため、付近を散策がてら美術館に入ってみるのも良いでしょう。
2-13 シャイヨ宮
シャイヨ宮は、1937年に開催されたパリ万博のパビリオン(展示場)として建設されました。
パリ万博を終えた現在は、博物館(海洋博物館、建築・文化財博物館、人類博物館)として利用されています。
設計をがけたのは、建築家のルイ=イポリット・ボワロー、ジャック・カルリュ、レオン・アゼマの3人。過剰な装飾などを避け荘厳さや崇高さを追求した「新古典主義建築」をベースにしています。
ちなみに観光客たちからは、シャイヨ宮から見えるエッフェル塔の眺望が素晴らしいと評判なのだとか…。
2-14 サント・シャペル
サント・シャペルは、セーヌ川の中洲「シテ島」にあるゴシック建築の教会堂です。サント・シャペル・デュ・パレと呼ばれることもあります。
元々は、ルイ9世(聖王ルイ)が自身の収集した聖遺物を納めるために建設されたものでした。
2Fの窓には美しいステンドグラスが敷き詰められており、先ほどもご紹介した「ノートルダム大聖堂」を思わせるデザインですが、建設に携わった設計士や建築家の名も分かっていません。
現在は、パレ・ド・ジュスティス(裁判所)の一部として利用されています。
2-15 コンシェルジュリー
コンシェルジェリーは、かつては罪人たちを収監するための牢獄として利用されていました。
特にフランス革命後のいわゆる恐怖政治時代には、たくさんの王族や貴族たちが収監されていたと言われています。
コンシェルジェリーに収監された者は必ず死刑(主にギロチン)に処されていたため、「死の牢獄」と呼ばれることもあったのだとか…。
ちなみにコンコルド広場で処刑されたマリーアントワネットも、処刑までの間はこのコンシェルジェリーに収監されていました。
そんな凄惨な歴史をもつこの場所も、現在は裁判所(パレ・ド・ジュスティス)の一部として利用されています。
世界遺産を巡ればパリの歴史が鮮明に蘇える
本日は、パリ市にある世界遺産についてご紹介しました。
建築物が大半を占めているため、時代ごとの建築様式などに興味のある方にとってパリ市は宝の山。
様式などについて詳しく知らない方でも、その荘厳な外観と内装を目にすればパリの歩んできた歴史を肌で感じることができるはずです。
とにかく狭いエリアにたくさんの名所が集結しているため、ルートさえ調べておけば初心者の方でも様々な世界遺産を効率よく巡ることもできることでしょう。
付近には水上バス(バドビュス)などの交通手段もあるので、上手に活用してみてくださいね。