日本の朝食の大定番といえば、白米、味噌汁、納豆、卵焼きに焼き魚。アメリカを始めとした欧米諸国では、スクランブルエッグ、ベーコン、トーストなどが一般的ですよね。
一方で、フランスの朝食をご存知の方は意外と少ないのではないでしょうか?
フランスといえばやはり、ミシュランガイドで星を獲得しているレストランなど「美食の国」という印象があります。
そのせいもあって、なんとなく贅沢で優雅なモーニングをしているというイメージを持つ方も多いはずです。
しかしいざ現地に訪れてみると、「私たち日本人の想像するフランスの朝食のイメージとは違った」という感想をもたれる方が多いのだとか。
今回は、知っていそうで意外と知らない「フランスの朝食事情」について詳しく見ていきましょう。
目次
1 フランスの朝食の特徴
1-1 とにかく「甘いもの」を食べる
フランス人の多くは、朝食に甘いもの(菓子パンなど)を好んで食べる傾向にあると言われています。
なんとなく、暖かい野菜スープにバケットなどを食べてそうなイメージがあったかもしれませんが、むしろ塩っ気のあるものを食べる人の方が少ないのだとか…。
私たち人間にとって糖質は大切なエネルギー源の1つですよね。
そう考えると、朝から甘いものを摂取してエネルギーを補給するというフランス人の生活スタイルは、理にかなっているのかもしれません。
1-2 なるべくライトに、そして手軽に
フランスでは、できるだけライトかつ手軽に済ますことのできる朝食が好まれています。
一般的にフランスというと、なんとなくテーブルを囲んで優雅に食事しているイメージを持たれる方が多いかもしれませんが、実際はむしろその真逆。
みんな朝食は、フランスの定番バケットなど軽めのもので簡単に済ませてしまうことが多いようです。
ちなみにバケットとは70~80㎝のフランスパンのこと。値段も安く、フランス人の主食とも言われています。
食べ方は切ったバケットにジャムやはちみつをつけたり、カフェオレやココアに浸して食べるのがフランス流。
寝起きに適当なパンとエスプレッソでエネルギーを補給して、そそくさと出勤する…。せわしない朝の風景は、どこの国でも同じなのかもしれませんね。
2 フランス人は「ヴィエノワズリー(菓子パン)」が大好物
「ヴィエノワズリー(Viennoiserie)」とは、フランス語で「菓子パン」のこと。
フランス人は、甘いものの中でも特に菓子パンが大のお気に入りなのだとか。数ある菓子パンの中でも、以下の3つは最も広く親しまれています。
2-1 タルティーヌ
タルティーヌは、フランスにおける朝食の大定番。
タルティーヌとはいわゆるフランス式オープンサンドウィッチのことで、スライスしたパンやバケットなどの上にたっぷりのバターとジャムを乗せて食べるのが一般的です。
時間に余裕があるときは、新鮮なカットフルーツなどを乗せて食べることもあります。
自分の好きな具材を上に乗せるだけのフランス式お手軽モーニングです。
2-2 パン・オ・ショコラ
パン・オ・ショコラは、フランスのカフェモーニングで愛されている定番菓子パンの1つ。日本ではチョコクロワッサンと呼ばれることもあります。
クロワッサン生地の中にはチョコレートが入っており、忙しい朝のエネルギー補給にはうってつけです。
ちなみにカフェの店頭で注文した場合には、一度オーブン等で加熱してから提供してくれます。
オーブンの熱で溶けたチョコレートとサクサクのクロワッサン生地がたまりません。
2-3 クロワッサン
フランスの朝食では、シンプルなクロワッサンも決して外せません。
前日にいくつかクロワッサンを買っておいて、自宅のオーブンで一度温めてから食べる方も多いのだとか。
サクサクとした食感とふんわりと漂うバターの濃厚な香りは、濃いめのコーヒーやエスプレッソとの相性も抜群です。
シンプルなヴィエノワズリーだからこそ、素材本来の味わいが引き立ちます。
3 時間がない朝は「ミューズリー」で軽食
ちょっと寝坊してしまったときなど時間のない朝にうってつけなのが、このミューズリーです。
ミューズリーとは、押し麦をベースに、ドライフルーツ、穀物類などを合わせたシリアルの1種のこと。上から牛乳をかけてサッと食べるのが一般的です。
とても手軽な上に栄養バランスにも優れているため、特に女性人気の高い定番モーニングの1つとして知られています。
ちなみに最近では、日本国内でもミューズリーは栄養効果の高い食品として健康志向の方を中心に人気を集めているようです。
4 飲み物はコーヒー or 柑橘系ジュース
菓子パンを食べる方が多いため、飲み物は基本的にブラックコーヒーやエスプレッソなどビターなものが好まれています。
ほろ苦いコーヒーやエスプレッソは、甘いヴィエノワズリーとの相性も抜群ですよね!
もちろんフランス人はコーヒーばかり飲んでいるわけではありません。
ちょっと意外かもしれませんが、オレンジジュースを始めとした柑橘系のジュースも広く親しまれているようです。
時間がないときは、朝食代わりにオレンジジュース1杯で済ませてしまう方も多いのだとか…。
5 フランスでは珍しい”塩っ気”のある朝食も
甘い菓子パンが朝食における大定番のフランス…。
しかし、だからといって塩っ気のある朝食が嫌われているわけではありません。
甘いものばかりでなく時には塩っ気のあるものだって食べたくなるものです。
4-1 クロックムッシュ
クロックムッシュとは、パンにハムやチーズを挟みパンの表面をこんがり焼いたトーストの1種です。
1910年、フランスのオペラ座近くのカフェで提供されていたトーストがクロックムッシュの元祖であると言われています。
日本のパン屋さんでも提供されているのをよく見かけますよね。
サクッとした食感のパンととろけたチーズとハムによる塩味がとにかく抜群。朝からしっかり目に食べてきたい!という方からも人気の高いメニューの1つです。
4-2 ウフ・ア・ラ・コック
ウフ・ア・ラ・コックは、半熟の黄身にバゲットやパンを軽くディップから食べる、フランスにおける朝食の伝統メニューの1つです。
日本ではあまりお目にかかる機会が少ないかもしれませんね。
ブルボン朝第3代 フランス国王のルイ14世も、このメニューを好んで食べていたのだそう。
シンプルながらも一度食べたらとにかく病みつきになる美味しさ。
パンやバゲットは一度トーストしたあと、たっぷりのバターを塗ってから食べることで、より香ばしく濃厚な味わいに仕上がります。
6 休日はちょっと寝坊して優雅にブランチを楽しむ
翌日はお休みの日は、お酒を飲みながらちょっとだけ夜更かし…。いつもより朝寝坊をしてからブランチに出かけます。
ブランチのスタイルは様々ですが、近所のカフェやレストランで、ちょっとだけ贅沢な朝食を時間をかけてゆっくり楽しむのが一般的です。
いつもは菓子パン1つで済ませている人も、お休みの日は特別。美味しいバケットやメイン料理を食べた後は、お楽しみのデザートまでいただきます。
家族や恋人とのゆったりとした時間が流れるブランチのひととき。
また来週から仕事に精を出すためにも、休日のブランチの時間は欠かせません。
ちょっと甘いモーニングはフランス人の1日の活力に
今回は、意外と知られていないフランスの一般的な朝食事情についてご紹介しました。
フランスという国の印象から、ゆったりと贅沢な朝食を楽しんでそうなイメージがあったかもしれませんが、実際は意外と軽めに済ませる方が多いのです。
ライトな朝食だからこそ、少し甘めの菓子パンを食べてしっかりとエネルギーを補給しています。
日本にお住いの方も、忙しい朝にフランス式のモーニングを取り入れてみるのはいかがでしょうか?