日本人がフランスに訪れた際に感じるのは、やはり言葉の壁です。
日本でも英語を話せる方はいらっしゃいますが、フランス語を話せるという方は周りにも意外と少ないのではないでしょうか?
日本語や英語よりも複雑で、そしてどこか奥ゆかしいフランスの言葉…。
旅行のために単語から文法までを全てマスターするのは、とても現実的とは言えませんよね。
そこで今回は、フランス旅行に訪れた際にサクッと使える単語、フレーズなど実用性の高いものを絞ってご紹介いたします。
文法など細かい部分がわからなくても、まずは現地で「身振り手振りを加えつつ、何となく言いたいことを伝えられるレベル」を目指してみましょう。
目次
1 フランス語の3つの特徴
1-1 語彙が非常に豊富
フランス語は他の国の言語と比べて、語彙が非常に豊富です。
特に、物事の状態や様子を表す「形容詞」の多さは群を抜いています。普通は言葉で表すのが難しいとされる内面的な美しさや抽象的な物事を表現することに長けている言語と言えるでしょう。
抽象的で難解な表現を多用する哲学がフランスで発展したのも、フランス語のもつ形容詞の豊富さによるものかもしれませんね。
1-2 女性名詞と男性名詞がある
日本語とは大きく異なる特徴の1つとして、名詞にも「性別」があるという点が挙げられます。
フランス語は、その名詞が男性名詞なのか、それとも女性名詞なのかによって付属する冠詞(la le les)が変化するのです。これはラテン語由来の言語に顕著な特徴であると言われています。
例えば、机という意味をもつ「table(ターブル)」という単語は女性名詞です。女性名詞の冠詞には「la(ラ)」が用いられるため、「la table(ラ ターブル)」と表記します。
一方で、男性名詞の冠詞である「le(ル)」を使って「le table」と表記することはできません。先ほども説明した通り、tableという単語は女性名詞だからです。
このように名詞自体の性によって冠詞が変化するという点が、フランス語の大きな特徴と言えます。日本人の方がフランス語を学習する上で最初にぶつかる壁とも言えるでしょう。
1-3 数字に関する表現が独特
フランス語は、数字に関する表現が独特かつ複雑であると言われています。
というのも、1〜69と70~99では数え方が大きく異なるからです。まずは1〜69までの表現をしっかりと覚えたのち、70〜99まではそれらの数字を掛けたり足したりして表現する必要があります。
例えば、70という数の場合、60(soixante)に10(dix)を足して「soixante-dix」と表記しなくてはなりません。
次に80という数を表す場合を考えてみましょう。今度は先ほどの法則を利用して、60(soixante)に20(vingt)を足して「soixante-vingt」と表記しなくなりませんか?しかし、実はこれは間違い。
80は足し算ではなく4の掛け算で表記しなくてはなりません。よって80は、4(quatre)× 20(vignt)で「quatre-vignts」と表記します。かなり複雑ですね…。
気になる方は、フランス語の数字表現について調べてみると良いでしょう。日本語における数字表現との違いを実感することができるはずです。
2 観光目的なら完璧なフランス語を話す必要はない
フランス語は、先に英語を学習した日本人からするとなかなか理解するのが難しい言語です。
でもご安心ください。観光目的にフランスに訪れるのであれば、完璧なフランス語を話す必要は全くありません。
もちろん話せるに越したことはないかもしれませんが、旅行のために新しい言語を習得するというのは大変です..。
まずは基本的なフレーズと会話表現などを押さえつつ、あとは身振り手振りで伝えることができればOK。もしそこからフランス語に興味が湧いた場合、入門書などを一冊購入して勉強してみると良いでしょう。
スタートから身構える必要はありません。まずは観光を楽しみつつ、現地の文化に触れることを最優先しましょう。
3 【フランス語 入門編】よく使う14のフレーズ
最初から完璧なフランス語を話す必要はありません。
ただし、覚えておくとちょっとした場面で使える便利なフレーズというものがあります。フランス旅行に訪れる予定のある方は、まずは以下の14のフレーズをざっと予習しておきましょう!
3-1 はい/ いいえ
- はい…Oui(ウィ)
- いいえ…Non(ノン)
英語におけるYes / Noと同じです。「はい」はOui(ウィ)、「いいえ」はNon(ノン)と表現します。
フランス語が苦手な方でも、これだけは必ず覚えておきましょう。日本のように、自己表現をしなくても周囲の人が何となく本人の気持ちを察してくれるという文化はフランスには基本的にありません。
ちなみに断る際に「Non」だけだと、若干つっけんどうな印象を与えてしまう場合もあります。その際は、「Non merci(ノン メルシー)」を使いましょう。
こちらなら「お気持ちは嬉しいですが、結構です」というニュアンスになります。
3-2 おはよう / こんにちは / こんばんは
- おはよう / こんにちは…Bonjour(ボンジュール)
- こんばんは…Bonsoir(ボンソワー)
日本語における「おはよう」や「こんにちは」に当たる表現は、Bonjour(ボンジュール)です。とはいっても朝でも昼でも夕方でも、いつ使ってもOK!一日中時間帯問わず使える便利な表現です。
一方で、Bonsoir(ボンソワー)は基本的に夕方に使われます。
フランスにおいて挨拶は非常に重要です!しっかりと挨拶ができないと相手からの印象が悪くなってしまいます。
レストラン、マルシェ、ホテルのフロント、タクシーなどなど、とにかく相手に会った際には必ず自分から「Bonjour!」と笑顔で声をかけましょう。
ちなみに同様の挨拶表現で「salut(サリュ)」というのもありますが、こちらはかなり親しい間柄でしか使いません。関係値の浅い人に対しては失礼にあたりますので気をつけましょう。
3-3 さようなら
- さようなら…Au revoir(オ ルボワー)
別れの挨拶の時に使う表現です。誰かと別れる時だけでなく、お店から退店する時などにも使います。
例えばマルシェなどで買い物を済ませ店から出る時には、「Au revoir(オ ルボワー)」と声をかけるとスマートですね。
ちなみにレストランやブティックなどではスタッフさんが、日本における「またお越しくださいませ」に近いニュアンスでこの表現を用いることもあります。
3-4 ありがとう / どういたしまして
- ありがとう…Merci(メルシー)
- どういたしまして…De rien(ド リヤン)
感謝の気持ちを伝えることは、どの国でもとても大切!
何らかのサービスや親切を受けた際には、相手に向かって笑顔で「Merci!」と声をかけましょう。
反対に、もし自分がMerciと言われた際には、日本語の「どういたしまして」に当たる「De rien(ド リヤン)」と返事ができれば完璧です。
3-5 召し上がれ
- 召し上がれ…Bon appétit!(ボナペティ)
食卓を囲んだ際の挨拶として使われる表現です。日本語における「いただきます」と同じ意味であると誤解されやすいのですが、フランスでは「召し上がれ」という意味合いになります。
つまり自分が相手に食べさせる立場である場合に限り、この表現を使います。
もし自分が「Bon appétit!(ボナペティ)」と声をかけられた際には、笑顔で「Merci!(ありがとう)」と返事しましょう。
3-6 美味しいです
- 美味しいです…C’est bon(セ ボン)
レストランなどで提供された食事を口にした際には、「C’est bon(セ ボン)」と感想を伝えましょう。
ちなみにこの表現の使用は、食事のシーンに限定されません。例えば、相手を安心させるために「大丈夫!問題ないですよ」という意味でも「C’est bon」が使われます。
一見するとシンプルですが、意外と奥が深い表現なのです。
3-7 お願いします
- お願いします…S’il vous plaît(シル ヴ プレ)
旅先で重宝するのが、この「S’il vous plaît」という表現。
例えばレストランでスタッフさんにオーダーする際、メニュー表を指差しながら「S’il vous plaît!」と言えば、「これください!(これをお願いします)」という意味になります。
物を買ったり何かをオーダーする時に使える万能表現ですので、是非とも覚えておきたいところです。
3-8 ごめんなさい
- ごめんなさい…désolé(デソレ)
相手に対して丁寧に謝る時には、「désolé(デゾレ)」という表現を使います。
後ほどご紹介する「pardon(パルドン)」なども軽く謝る時に使用できますが、相手を怒らせてしまいそうな時には「désolé(デゾレ)」を使ったほうが良いでしょう。
ちなみに「本当にごめんなさい」は、「Je suis vraiment désolé.(ジュ スイ ヴレマン デゾレ)」と言います。こちらは、相手に対して深い謝罪の意を伝える時に使いましょう。
3-9 ちょっと、すみません(店員さん等を呼ぶ時)
- ちょっと、すみません…Excusez-moi(エクスキューゼ モワ)
日本でもレストランやお店などでスタッフさんなどを呼ぶ時に、「ちょっとすみません!」と言ったりしますよね?
これをフランス語では「Excusez-moi(エクスキューゼ モワ)」と表現します。誰かを呼び止めたりする時に大活躍してくれますので、是非とも覚えておきたいところです。
ちなみに道で誰かにぶつかってしまった時などに、「Excusez-moi!」と言えば「ごめんなさい」の意味にもなります。シーンに応じた使い分けも大切です。
3-10 これはいくらですか?
- これはいくらですか?…C’est combien?(セ コンビアン)
商品の値段を訊ねる際に使う頻出表現です。
自分の気になる物を指差しながら、「C’est combien?(セ コンビアン)」とスタッフさんに声をかけましょう。マルシェやお土産やさんなどでも使いやすい便利な表現の1つです。
是非覚えておきましょう!
3-11 〇〇はどこにありますか?
- 〇〇はどこにありますか?…Où est ○○?(ウ エ 〇〇)
観光に行くなら必ず覚えておきたい表現の1つ。〇〇の部分には、目的の場所などの固有名詞が入ります。
現地の人に道を訊ねる時などにも使えそうですね!
例えば「マドレーヌ寺院はどこですか?」と訊きたい時には、「Où est Église de la Madeleine?(ウ エ エグリース デ ラ マドレーヌ)」と表現します。
もし場所の名称がわからない場合には、地図などを指差しながら使うと良いでしょう。
3-12 〇〇をしても良いですか?
- 〇〇をしても良いですか?…Je peux 〇〇 ?(ジュ プ 〇〇)
相手に対して許可を求める際に使う表現です。例えば以下のような動詞と組み合わせて使います。
- Je peux voir ca?(ジュ プー ヴォワーフ サ)…これを見ても良いですか?
- Je peux toucher ca?(ジュ プー トゥシェ サ)…これを触っても良いですか?
- Je peux l’essayer ca?(ジュ プー レッセイエ サ)…これを試着してもいいですか?
組み合わせ次第でかなり応用が利きそうですね!
この辺りの表現を使えるようになってくると、旅行の際にもかなり便利になってきます。
3-13 ちょっと待って!
- ちょっと待って!…Attends! (アッタン)
時間的な意味でちょっと待ってほしい時に使える表現です。
例えば、靴紐がほどけてしまった時に同伴者に対して「Attends!」と伝えれば待ってくれます。
ちなみに相手から耳を疑うような話を聞いた時に、頭を整理するために「Attends!」と言うこともあります。こちらはかなり会話表現が上達してから使えそうですね!
3-14 えっ?(聞き直す時)
- えっ?…Pardon?(パルドン)
相手の言葉が聞き取れなかった時に使います。英語でも、聞き直す時に「Paradon?」と言いますよね?
フランス語ではスペルと発音が少し異なりますが、同様の意味で使用することができます。相手のフランス語が早すぎて聞き取れなかった時などに重宝しそうです。
ちなみに語尾を疑問形にせずに使うと、「すみません」と言う軽い謝罪の意味になります。聞き直すことを目的としている場合には必ず、語尾のイントネーションを上げて疑問形にしましょう。
4 【フランス語 基本編】知っておくと便利な30の単語
以下では、フランスの街中にある標識や案内などによく登場する頻出キーワードをまとめてみました。
これらを知っているだけでも、異国の地における移動の手がかりになるかもしれません。
もし自力で文章化にすることができない時でも、単語さえ分かれば現地の人に対して何となくの意図を伝えることも可能です。
ざっくりで結構ですので、まずは一通り確認しておきましょう。
単語 | 意味 | 発音 |
---|---|---|
femme / homme | 女性 / 男性 | ファム / オム |
rue | 通り | リュ |
eglise | 教会 | エグリーズ |
hopital | 病院 | オピタル |
metro | 地下鉄 | メトロ |
gare | 駅 | ガール |
tarif | 運賃 | タァリフ |
ticket | 切符 | ティケ |
prix | 料金 価格 値段 | プリ |
supermarche | スーパー | スーパーマルシェ |
marche | マルシェ | マルシェ |
restaurant | レストラン | レストラン |
cafe | 喫茶店 | カフェ |
hotel | ホテル | オテル |
petit dejeuner | モーニング(朝食) | プティ デジュネール |
dejeuner | ランチ | デジュネール |
diner | ディナー | ディネ |
reservation | 予約 | ラレゼルヴァスィオン |
numero de telephone | 電話番号 | ニュメロ デ テレフォン |
adresse | 住所 | アドレス |
repas | 食事 | ルパ |
toilette | トイレ | トワレット |
salle de bain | お風呂 | サール ド バン |
chambre | 部屋(ホテルの客室) | ショーンブル |
boisson | 飲み物 | ボワソン |
boutique | 洋服屋(高級な) | ブティック |
patisserie | お菓子屋 | パティスリ |
boutique de souvenirs | お土産屋 | ブティック ド スーブニール |
jardin | 公園 庭 | ジャルダン |
voyage | 旅行 | ヴォワヤージ |
基本表現を押さえて楽しいフランス旅行を。
本日は、旅行の際に知っておくと便利なフランス語の基本についてご紹介しました。
フランス語は比較的習得の難易度が高い言語の1つです。ただし、観光で訪れる程度であれば1から10まで理解しようする必要はありません。
よく使うフレーズや基本表現を覚えておくだけでも旅先では十分対応できます。
もしこれをきっかけにフランス語に興味を持った方は、お近くの書店でフランス語の入門書を1冊購入してみると良いでしょう。
言葉について知ることで、フランスの文化をより深く理解することができるはずです。