皆さんは「グルテンフリー」という言葉をご存知でしょうか。
グルテンフリーとは体質改善を図るために小麦(グルテン)を抜く食事方法。
日本ではその減量効果のみ伝わってきてしまっているため、”グルテンフリー=ダイエット”といったイメージを持っている人が多いのではないでしょうか。
しかし、そもそもグルテンフリーは小麦(グルテン)アレルギー疾患を持つ方のために考案された食事療法であり”痩せるための食事制限”と捉えるのは正確ではないんです。
今回はグルテンフリーについてそもそもどんな効果があるのか、メリットやデメリットについても触れていきながら詳しくご紹介していきます。
目次
1 グルテン(小麦)の正体について
グルテンフリーとは、グルテン(小麦)を含んだ食事の摂取を制限する方法のこと。
ただ”肝心のグルテン”とは一体どんな成分なのかご存知ない方が多いのではないでしょうか。
ここではまず、そんなグルテンについて特徴やどのような食品に含まれているのかを詳しく見ていきましょう。
1-1 グルテンってどんな成分?
そもそもグルテンとは私たちにも馴染み深い”タンパク質”のひとつ。
グルテニンとグリアジンという2種類のタンパク質が結びつくことで形成される栄養素がグルテンなんです。
“パン”や”うどん”など、小麦粉を原料とした食品ができあがるまでの工程をイメージしてみてください。まず小麦粉に水を加え、こねることで弾力のある生地を形成していきますよね。
実はこの工程がグルテンを形成するための作業そのもの。グルテンの特性である弾力性や粘着性(粘り気)は小麦粉を使った加工食品には欠かせない成分なんです。
グルテンは、グルテニンの”弾力”とグリアジンの”伸びやすさ”、両方の利点を掛け合わせることでその特性を発揮することことができると言われています。
1-2 グルテンが含まれる食材
グルテンと言えば小麦のみに含まれている栄養素と思われがち。
しかし同じ穀物なら”大麦”や”ライ麦”そら豆などの豆類など、グルテンは様々な食品にも含まれているんです。
また、パンや麺類などグルテンが含まれていると判断しやすい食品の場合はよいですが、“料理のつなぎ"や”醤油や味噌といった調味料の安価なタンパク源として”など、小麦粉が使用されているにも関わらず見た目だけでは判断できないこともしばしば。
ひとたび食事からグルテンを摂取することを避けようと思うと、実は思っているよりとても大変なことなんですね。
2 グルテンフリー本来の目的とは?
もともとグルテンフリーという考えは、穀物を主食としている欧米諸国が発祥。2017年ごろにプロスポーツ選手やセレブの間でブームになったことがきっかけで広く認知されるようになりました。
そんな美容健康法として広まったグルテンフリーですが、本来は小麦アレルギーやセリアック病を患っている人がとるべき”食事療法”なんです。
これらの症状を患っている場合、グルテンを含む食品を摂取し体内に吸収されると体調を崩してしまう可能性があるんだとか。
例えば、小麦アレルギーは日本でも多くみられる症状。体内にグルテンが吸収されることで”皮膚の痒み”や”じんましん”、”吐き気”や”腹痛”などのアレルギー症状が出てしまうんだとか。
また、あまり聞き慣れないセリアック病とは、本来体外からの細菌を排除する免疫系がグルテンに過剰反応することで、小腸の粘膜を傷つけ”腹痛”や”下痢”、”消化不良”を引き起こしてしまう病気のこと。
小麦アレルギーやセリアック病は遺伝によって発症する場合がほとんど。生涯に渡って付き合っていかなくてはいけない病気なんです。
もしグルテンを含んだ製品を摂取したときにたびたび体調を崩してしまうようでしたら、これらの病気を一度疑ってみるものよいかもしれませんね。
3 グルテンフリーにはダイエット効果がある?
日本で”グルテンフリー”といえばダイエットのための食事制限と考えている人が多いのではないでしょうか。
結論から言うとグルテンフリーを行うことによるダイエット効果は、また科学的根拠はないんだとか。
ただ、グルテンを制限すること自体に直接的なダイエット効果はないにしろ、ダイエットに全く関係がないかというとそうでもないんです。
例えば、小麦粉を使用した食品には砂糖や油を多く含んだものや栄養素を含んでいない、いわゆるエンプティカロリーと呼ばれる食品が多いと言われています。
これらの食品は高カロリーなものが多く、カットすること自体が食事のコントロールに効果的なんです。
また、小麦には食欲を促進する作用があると言われており、その側面から見るとグルテンフリーはダイエットに効果的と言えるかもしれませんね。
4 グルテンフリーを行う際に気をつけたいこと
グルテンフリーを行う際、摂取する栄養バランスが崩れないように注意しなくてはいけません。
上記でご紹介した通りグルテンを含む食材は意外と多く、それらを避けてしまうとどうしても食事内容が偏りがちになってしまいます。
例えば、グルテンフリーを取り入れたことで食事が肉類に偏り、脂質の摂取が増えてしまうことが原因で体重が増えてしまうなんてことも…
また、グルテンフリーを行うことで最も不足しがちと言われる栄養素は”食物繊維“。この栄養素が体内で不足してしまうと便秘や心臓や血管の病気にかかるリスクが高まってしまうとも言われています。
グルテンフリーはただ食事制限をするだけでなく、栄養バランスをしっかり考えることが大切なんですね。
まとめ
本日は小麦などに含まれる”グルテン”の摂取を控える”グルテンフリー”についてご紹介してきました。
もともとグルテンフリーとは、グルテンを摂取することでアレルギーや腹痛などの疾患を起こしてしまう人たちのために考えられた食事療法。
美容健康効果やダイエット効果を期待して取り入れる人も多いようですが、グルテンフリー自体に過度なダイエット効果を期待するのは控えた方がよさそうです。
またグルテンを摂取できない人向けに小麦を使用せず、米粉や大豆粉を代用した食品もたくさんあるんだとか。
グルテンを摂取したときに、体調を崩してしまいがちな方は本記事を参考に一度グルテンフリーを試してみてはいかがでしょうか。